
風疹とは
俗称“三日はしか”と呼ばれる風疹は、麻疹に良く似た発疹と2〜3日で消失することからそう呼ばれ、急性の伝染病です。独国(ドイツ)の医師が記載したことにより「ドイツはしか」とも言います。
感染症状と重症化の心配はないのか?
風疹は発疹・発熱・リンパ筋腫脹の症状があるウイルス性疾患であり、飛沫感染で体内に侵入します。ですが伝染力は麻疹ほどでは無く、一度罹ると免疫が得られ、その免疫はずっと続きます。3〜10年間隔のサイクルで流行し出し、感染後の潜伏期間は2〜3週間です。
小さい発疹が顔から全身にと現れますが、3日くらいで皮が剥け出し、痕を残しません。発熱は38〜39度くらいまで上がりますが、それもスグに下がり、その後に2〜3日間ほど微熱が続きます。全身のリンパ節の腫脹がみられ、頭や首、耳の後ろの腫脹が目立ち、押したような軽い圧迫痛があります。
合併症として脳症、脳炎、紫斑病、関節炎が6歳未満の子供にみられます。また成人の場合は重症化の傾向が強くみられ、合併症の脳炎や血小板減少性紫斑病などがありますが、予後は良いとの報告があります。成人女性の場合は関節炎を起こすことがあるので、小児より成人の風疹のが注意が必要です。
治療
ウイルスをやっつけるものではなく、症状を和らげる対症療法が治療法となります。関節炎や発熱などには解熱鎮痛剤を使用します。
風疹は症状が軽いため、合併症の診断がなければ発疹が消失するまで安静を保ってください。
予防接種
予防接種に用いるワクチンは麻疹・風疹混合ワクチンであり、麻疹の予防としても用いられています。ですがワクチンを投与したからといって100%ウイルスを防ぐことは難しく、発症する人もいます。
また、予防接種は1歳から受けることができ、2歳までに接種することと、5歳〜7歳未満までの小学校就学までを予防接種法施行令として定められ、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間の期限付きで13歳と18歳の予防接種が導入されました。
この期限付きの目的は平成19年春に10〜20代を中心とした年齢層で麻疹が流行したことによります。この麻疹を排除するために導入されたのが期限付きの制度なのです。
先天性風疹症候群
妊娠女性が風疹に罹患したことが無く、抗体を持ってない状態で風疹ウイルスに感染した場合であり、なおかつ妊娠初期であったならば、胎児の各器官の形成において細胞分裂が妨げられて、動脈管開存症などの心疾患や白内障、難聴などの先天異常を持って生まれる可能性があります。先天異常は風疹に感染した時期にもよりますが、その発生頻度は妊娠4ヶ月以降には低下し、感染初期よりは頻度は高くなっています。
胎児が胎盤に着床する以前の妊娠1ヶ月前半の発症頻度は少ないです。妊娠2ヶ月間に感染すると心疾患や白内障、妊娠3ヶ月以降では網膜症や難聴などの聴力障害がみられ、妊娠2ヶ月目の感染による心疾患や白内障には高いリスクで難聴が合併し、発達・発育障害も併発しやすいです。
先天性風疹症候群の障害としては難聴が多く発症しやすいです。また、生後1週間に血小板減少性紫斑病や肝炎、泉門膨隆、溶血性貧血、低出生体重児など様々な症状を引き起こし、永久的な障害を合併する可能性が高いです。
先天異常に対して特別な治療法はなく、難聴には聴力を補う補聴器を使い、難聴の教育が必要となり、手術が適応するものは手術を行います。ですが、予後として生後6ヶ月から生後1年以内に命を落とす児が多く、敗血症や心不全、全身衰弱などが原因です。
麻疹とは
麻疹ウイルスに感染したことによって発症する急性発疹性感染症であり、“はしか”と呼ばれますが、風疹である“三日はしか”とは異なった疾患となります。古くから知られる病気であり、重度の伝染病であるが故に「命定め」とさえ言われていました。その後、予防接種が始まったことによって感染者は激減しましたが、平成19年に大規模の流行が確認されたため、麻疹ウイルスを排除するために定期予防接種の対象も拡大されました。
症状
麻疹ウイルスは発病初期に強い感染力を見せます。飛沫感染により感染し、喉の粘膜などでウイルスが増殖し、発疹などが現れる3〜4日前から空気中に散布し始め、発疹が現れてからも4間続きます。潜伏期間は11日前後で、症状の経過期は3段階に分けられます。
前駆期
38度前後の発熱と咳、目やになど風邪に似た症状が現れます。小さい子供では下痢と嘔吐を催します。感染発症後2・3日で口腔内の頬の内側に粟粒大の白い水疱があらわれます。発熱は3日程度で低下しますが、発疹期に入る前に再度上昇します。
発疹期
前駆期が終わり、発症後4日目頃に発疹が顔から体へと全身に広がっていきます。発疹は小さな赤い発赤だったものが、徐々に大きくなり近くの発疹と結び合って結合し、様々な大きさのものとなります。発疹と発疹が結合されなかった部分は健康な皮膚であり、発疹の消失後には色素沈着(発疹の痕であり、しみのようになる)を残します。
熱も上昇の一途を辿り、38〜39度の間(稽留熱:けいりゅうねつ)を行ったり来たりします。発疹期は発症後3〜4日の間のことで、発疹や咳、高熱、目の充血などの症状が激しくなりますし、感染者の体力の低下が著しい時期ですが、一般に発症後7日目辺りが峠とされていて、その後快方へと向かいます。
合併症の併発や異常経過の可能性があるのは、この時期になりますので十分な注意が必要です。
回復期
発症後8日目頃から各症状が引いていき、発疹も7〜10日で消失します。また皮が剥けるとともに、皮膚に褐色の色素沈着を残して消えていきます。
合併症
合併症を起こしやすいのが発疹期から回復期に向かう時期です。麻疹で多くみられるのは肺炎であり、この肺炎併発により命を落とす患者も多いです。他に中耳炎や脳炎、化成クループや心筋炎などがあります。発症後8日目を過ぎても熱が下がらなかったり、一度下がったのが再度発熱するようなときには合併症の可能性がありますので、すぐに病院へ受診しましょう。
治療
こちらも風疹と同じようにウイルス本体をやっつけることは出来なく、症状を緩和させる対症療法となります。発熱には氷枕や、汗をかいたら着替えをして清潔を保ち、安静にしてください。食欲が衰えているときには、消化が良く、カロリーの摂れる食事や十分な水分補給を行ってください。
予防接種
麻疹・風疹混合ワクチンをうつことによって感染・発症を防いでくれますが、完全ではありません。内容としては風疹の予防接種の記載をご覧ください。