帯状疱疹で悩んだら【ゾスターナビ】
帯状疱疹,治療

帯状疱疹の治療

帯状疱疹はそのまま放置しておいても3〜4週間で治癒することを関連するページでご紹介しましたが、それらの合併症のリスクを下げるために早期治療を行いましょう。帯状疱疹の治療は薬の服用と疼痛の緩和がメインに行われています。

どんな治療法を行っているのか? <対症療法>

帯状疱疹は対症療法を主としています。ヘルペスウイルスが体中を支配している間は、それに拮抗する抗体がなく、また体の中にウイルスに対抗する十分な抗体ができるのを待つしかありません。疼痛へは薬を服用する内服薬、水泡などの皮膚症状には塗布薬などの外用薬、他には点滴注射が広く用いられています。

また治療が遅れることにより深刻な合併症を併発させることもあるので、医師の指示に従って治療しましょう。

消炎鎮痛薬

水泡などの症状が軽度の場合は痒み刺激などを抑制するために消炎鎮痛薬の軟膏を用います。外用薬の軟膏を使用することによって皮膚症状は改善しても疼痛が居残ることがあるので、疼痛にも注意しながら皮膚の治療を行ってください。

また、症状が進行すると抗ウイルス薬と併用し使用することもありますが、服用量・用法は医師の指示に従ってください。

消炎鎮痛薬の種類

炎症や疼痛を抑制する作用を持つ中から、第一選択薬として挙げられる薬剤をご紹介します。

ハイペン錠(錠剤)

疼痛や熱感を完全に取り除く(根治させる)までの力は無く、あくまで対症療法として用いられる薬剤です。帯状疱疹に挙げられている炎症や腫脹、神経痛として感じる疼痛の緩和、またそれを引き起こすプロスタグランジンの生合成を抑えてくれます。

副作用

胃腸症状が多く、胃痛・胃潰瘍(消化性潰瘍の人には禁忌です)、肝臓には有害物質を分解してくれる役割があり、それらの機能低下、痛風や急性腎不全を起こす可能性のある腎機能の低下、口腔内の舌や頬の粘膜などが炎症を起こしたりする口内炎などが副作用として報告されています。

副作用により重症化した症状

心臓本来の血液を送り出すポンプの役割を果たすことができず、体に必要な血液量が保てずに心臓が止まってしまう心不全や頭痛・疲労感などを感じさせる尿毒症状が先行する腎疾患、肝炎などの肝疾患、通常の抗生物質では効き目を示さないアレルギー性の肺炎であるPIE症候群(好酸球性肺炎)や一般では胃・十二指腸潰瘍と呼ばれている、胃液が付着する胃の壁の一部が欠損する消化性胃潰瘍、喘息発作の誘発などが重症化したものとして挙げられています。

ロキソニン錠(錠剤)

作用としてはハイペン錠と同じになります。

副作用

胃腸への副作用が多く、嘔吐・胃炎・下血・胃潰瘍などを催すことがあり、肝臓・腎臓への機能障害や食欲不振なども挙げられます。重症化することは少ないですが、高齢者の方は十分注意してください。

副作用により重症化した症状

尿が出ない閉尿や少量だけの乏尿など腎臓の重症状、アナフィラキシー様症状、皮膚が黄色くなる黄疸が認められる肝臓機能障害、発熱・頭痛・嘔吐を伴った症状の無菌性髄膜炎、その他ハイペン錠でも説明させていただいた消化性潰瘍、心不全、喘息発作などがあります。

プレドニン錠(錠剤・軟膏)

自己免疫疾患などの治療に用いるステロイド薬です。アレルギーや炎症を抑える役割をしてくれます。ステロイド(副腎皮質ホルモン)の分泌が十分でないときや、皮膚・眼・鼻などの炎症疾患などに使用されます。

副作用

服用当初に認められる症状として、肌のトラブル(肌荒れやニキビ)や食欲の増進・不振、脂肪が付きやすくなり、体重の増加、体毛が濃くなったり、髪の毛が抜けやすくなるなど、特に女性には好まない症状ばかりです。

副作用により重症化した症状

骨密度がなくなり、骨の中がスカスカになる骨粗鬆症や、低血糖を呈し、すぐに治療しなければ後にショック症状を起こし、なくなる危険性のある副腎不全、また気分が優れないなどの抑うつ状態を起こすこともあり、いずれ統合失調症や脳血管障害に繋がる可能性があります。いずれも重篤な症状に繋がっていくので、少しでも異変を感じることがあれば、医師にご相談ください。

抗ウイルス薬

早期回復へと繋がる治療法としてよく用いられるのが抗ウイルス薬です。ですが、数多くある抗ウイルス薬のどれもが帯状疱疹を根治させるためのものではなく、症状の緩和を目的として使用されています。

また抗ウイルス薬を服用することにより、水泡や疼痛などの症状を早期に緩和させることのできる時間として72時間以内が良いとされています。服用する容量は症状により変わりますので、医師の処方に従ってください。

ウイルスの増殖を抑える薬剤

ウイルスの抑制・症状の緩和を目的とし、拮抗薬として選択・使用される薬剤の説明、ご紹介をします。

バルトレックス錠:バラシクロビル塩酸塩(顆粒・錠剤)

ヘルペスウイルスの感染細胞の中で活性化することにより、ヘルペスDNAウイルス鎖(DNAウイルス:生物のライフサイクルに必要な遺伝子が組み込まれた1組の染色体が持つウイルス)の伸長・増殖の停止、複製を阻害する役割があります。

副作用

副作用は少なく、発疹、痒みなどの帯状疱疹の症状と変わらないものから、下痢や軟便、腹痛、頭痛といった風邪に似た症状などが挙げられます。特に腎機能が衰えている高齢者の方は注意が必要です。

副作用により重症化した症状

こちらは稀な症状で、ほとんど無いのですがご確認ください。急性腎不全は尿に変化があらわれやすく、濁尿や血が混じっている血尿、全身に発赤、または蕁麻疹や発疹が顕著に現れるアナフィラキシー様症状、目の充血や口唇内がただれやすくなる皮膚粘膜眼症候群、呼吸の減弱や肺疾患への疑いがある呼吸抑制、意識障害や妄想、けいれんなどの精神神経症状、皮膚の一部や眼球の白い部分が黄色くなる黄疸が発症する肝疾患、痰を伴わない咳と息切れ・動機を起こす間質性肺炎、お腹の臍(へそ)から上部分(上腹部)や背中に強痛が走る膵炎、体のだるさや出血しやすくなる血液成分の異常などが併発されます。

ゾビラックス錠:アシロビル(軟膏・クリーム・錠剤)

バルトレックス錠と同じく、DNAウイルス鎖の増殖を抑制し、発症時に用いると病状の悪化が抑制されます。抗ウイルス薬の中でも点滴注射薬として使用されます。

副作用

長期服用や過量摂取により、免疫や諸機能が低下している高齢の方に引き起こされやすい症状として下痢や軟便、嘔吐などを催す胃腸症状、帯状疱疹中に併発した場合、気づきにくい発赤・発疹などの皮膚異常です。

副作用により重症化した症状

こちらもバルトレックス錠と同じになります。

ファムビル錠:ファムシクロビル(錠剤)

ヘルペスウイルスに効果のある薬剤でウイルスそのものを退治することはできませんが、増殖の抑制に用いられます。また発症したばかりの初期症状時に用いることにより、悪化を抑え、早期回復の手助けをしてくれます。

副作用

嘔吐・下痢などの消化器症状、発赤・掻痒感などの皮膚障害などバルトレックス錠と同じ副作用が多く挙げられています。

副作用により重症化した症状

びらんや水疱、高熱などが引き起こされる皮膚障害と幻覚や意識障害などの精神神経障害などです。やはり重症化する場合は各機能が減退している高齢者に多く、症状が認められた場合はすぐ医師にご相談ください。

アシビル内服ゼリー(ゼリー)

他の抗ウイルス薬と同じくDNAウイルス鎖の複製の阻害・増殖を抑制します。

副作用

胃炎・腹痛などがある消化器症状、花粉症などで認められ、一般ではアレルギーと呼ばれる過敏症や貧血などです。

副作用により重症化した症状

他の抗ウイルス薬にも出現するアナフィラキシー様症状、粘膜眼症候群、精神神経症状を含め、さらに全身のだるさが取れない倦怠感、自分で上手く血液内のガス交換が行えず、その為、息をするたびに息苦しさを感じる呼吸困難、むくみや肝炎、肝炎が進行することにより悪化した状態の肝硬変などの肝機能障害、食欲不振などです。また中毒性表皮壊し症という、別称ライエル症候群と言う疾患を併発させることもあります。

ライエル症候群の発症は人口100万人に 0.4〜1.2人という非常に少ない疾患で、抗ウイルス薬などの抗生物質、また抗てんかん薬などの多くの薬品が誘発させる一因として推測されています。全身の発赤と、からだ全体の1割以上に熱傷(やけど)を伴い、皮膚のびらん・落屑といった皮膚障害と高熱の症状が報告されています。

尚、初めにご説明させていただいたとおり、副作用により重症化することは稀ですが、異常をご確認した場合は内服薬の減量・中止を医師とご相談ください。

点滴について

点滴は症状が悪化し、重症化した場合に用いられます。点滴を行う場合は入院することとなり、一日3回ほどの投与となります。

入院について

帯状疱疹における入院の必要性は重症時のみで、疾患については安静がとても重要な役割を果たしていて、充分な休養をとれば放置しておいても自然と治ります。ただし、その分後遺症として帯状疱疹後神経痛が残るリスクが高まりますので、早めの受診をお薦めします。

重症の場合として、顔面に痺れを感じたり、高熱(40度前後)、激しい神経痛、発疹・水疱の悪化などが認められた場合、医師と相談した後、更なる入院・治療等を行ってください。

  • <症状と治療>帯状疱疹の原因・感染など
  • <予防と対策>帯状疱疹の食べもの・ワクチン接種と予防など
  • <帯状疱疹の関連疾患>ヘルペスや水疱瘡・膠原病など
  • <帯状疱疹と間違えやすい病気>皮膚炎や蕁麻疹・風疹など
  • <帯状疱疹Q&A>質問と回答について

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